別荘地の場所はどこがいい?寒さへの対策は?建築家の視点でお答えします
別荘を建てたいと思ったとき、まず迷うのは場所選びではないでしょうか。
箱根、熱海、伊豆、軽井沢、那須など、日本各地にはさまざまな別荘地があります。
今回は、これまでに私(米村)のところに相談に来られたお客さんとの会話を元に、別荘地選び、寒冷地対策、注意することについてお答えします。

Q.
ずっと都会に住んでいましたが、コンクリートに囲まれた生活とは違う、自然の中での生活に惹かれています。
自然の豊かなところに別荘を建てて、将来の移住も念頭に置きつつ、しばらくの間は二拠点生活をしたいと意識するようになってきました。
そう思ったものの知識も経験もなく、どうしたらいのかと思っていたら米村さんのサイトに出会って相談に来た次第です。
まず、どこの別荘地がいいのか決めかねているので、アドバイスが欲しいです。
米村:
ありがとうございます。建築家との良い出会いが家づくりの第一歩だと思います。
別荘地はどこも個性があるので、ここがベスト!とすぐに決めるのは、難しいことです。建築士として、土地の購入前からご一緒することも多いです。一緒に考えていきましょう。
私の場合は、ご縁があって今までの実績として箱根、熱海エリアが多いです。
これまでの建築主さんは、箱根にしようか軽井沢にしようか悩み、引退後の生活を考えて暖かいイメージのある箱根、熱海方面に決める方が多かったです。
軽井沢は、今まで培ってきた歴史、ブランド力含め、圧倒的人気です。ただ、夏の避暑地としての生活は理想ですが、冬の寒さに耐える生活は厳しいです。凍結した道路を行き来することや、朝の雪かきなどは、自分の老後の生活としてイメージができない、という考えに至る人が多いようです。
Q.
箱根の良さは、どんなところですか?
米村:
箱根を拠点にすれば、芦ノ湖や仙石原、さらには熱海、湯河原、伊豆にもすぐに行くことができます。
箱根新道はあまり渋滞しないので、神奈川や東京方面からの所要時間が短いのも良いところです。箱根の「芦ノ湖高原別荘地」なら、湘南方面からは西湘バイパスと箱根新道を通って1時間と少しで着きます。東京方面から行く場合は東名高速を使って、小田原厚木道路と箱根新道を通ればだいたい1時間半くらいです。
熱海や伊豆方面の別荘地だと、夏季の渋滞が激しいことを気にされる方も多いです。移動のコツは、渋滞が解消した後の夜間に移動することです。昼から移動しても、夜に移動しても、結果的に現地への到着時間はあまり変わらないそうです。
箱根に別荘を検討されている方に多い傾向としては、その他にもこんな理由をお持ちです。
- 海の近く、または海が見えるところで生活をしたい。
- 富士山の眺望を楽しみたい。そして、箱根の大文字焼などの「地域のシンボル」に憧れがある。
- 老後の生活を考えると、なるべく暖かい土地で過ごしたい。冬の寒さが厳しい場所での別荘生活(自宅からの往復、買い物、雪かきなど)がイメージできないし、雪道で転倒するのではないかという不安もある。
- 文化的な刺激(博物館、美術館、歴史的建造物など)が近くに欲しい。
- ゴルフや温泉も楽しみたい。

Q.
芦ノ湖高原別荘地について、もう少し詳しく教えてください。
米村:
所在地は静岡県三島市ですが、芦ノ湖に近く、箱根エリアです。隣接する「芦の湖カントリークラブ」が別荘地も管理しており、別荘地のオーナーになるとゴルフ場の平日会員と同等の権利が付いてきます。箱根には他にも、冬でも通常プレーができるゴルフ場が多く、一年中ゴルフを楽しめる環境が整っています。
あと、芦ノ湖高原別荘地には温泉が引かれていないのですが、日本を代表する温泉地が周囲にありますので、温泉巡りも楽しみの一つです。
どの区画も1,000平米前後と広いですし、土地の「所有権」ではなく30年の「借地権」なので購入費を安く抑えられることが良いというご意見のオーナーが多いようです。
Q.
先ほど「なるべく暖かい土地で過ごしたい」とありましたが、箱根の冬も寒そうです。実際はどうなんでしょうか?
米村:
箱根も寒冷地ではあるものの、スキー場が近くにないことから考えても、東京の気候に近いと言えるでしょう。
車はノーマルタイヤで問題ないことが多いですが、箱根に別荘を建てた方は、みなさん冬はスノータイヤを採用しています。
Q.
別荘地での冬の生活は、何に気をつければいいでしょうか?
米村:
まずは、その別荘地が「寒冷地に該当するか」、「冬季の最低気温が氷点下になるのか」を確認する必要があります。該当する場合は「水抜き」と言う、ひと手間があることをお伝えしています。
水抜きとは、水道管の中に残っている水を抜くことです。冬は、水道管の中の水が凍結して膨張し、水道管が破裂してしまう危険性があるからです。
通常の設計仕様なら、水抜き用のボタンがあり、ボタンを押す事で解決します。外水栓は、電熱線が巻き付けられて保温されていることがあります。
しかし、水抜きを忘れて朝を迎えたり、帰宅したりしてしまった場合は大きな損害が発生します。凍結による水道管破損事故です。修理費がかかりますし、その工事期間(時間)は事実上、別荘が使えません。寒冷地での別荘ライフにおいて体験された方も多い事故です。
他にも、水栓や便器などは「寒冷地仕様品」を使う必要があります。
このように、別荘地に別荘を建てるのは、都会の住宅地に家を建てるのとは違う点がいくつもあります。別荘地での実績が豊富な建築士に相談すれば、「別荘地ならではの注意事項」を事前に知ることができるので、安心です。

一つの別荘が完成するまでの道のりは、まるで山登りのようです。あらゆる試行錯誤を重ねて設計図が形になっていきます。
私(米村)は「建築主が納得するまでプランを作る」ことを信条としており、必要であれば何案でもご提案します。
一方で、コストとの戦いも避けられません。予算オーバーが発生することもあります。その際には施工業者と向き合い、冷静にコストダウンの方法を検討していきます。これは設計業務の中でも、とても重要な作業になります。
しかし、完成した別荘を前に建築主の笑顔を見られたときは、山頂に立った時と同じく最高の瞬間となります。この瞬間を目指し、夢を抱きながら日々取り組んでいます。
ご相談いただければ、土地選びの段階から同行してアドバイスします。お気軽にお問い合わせください。
これまでの実績(一部)
芦ノ湖高原別荘地の家(作品紹介はこちら)
芦ノ湖高原別荘地の家2(作品紹介はこちら)
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家づくりQ&A
湘南を拠点にする一級建築士事務所 米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ
建築家 米村和夫