建築家による家づくりは「家への想い」なのです。
家を建てるとき、最初に考えるべきことは、「いくらで」でしょうか。
それとも「どんな暮らしをしたいか」でしょうか。
多くの方は、資金計画や、何部屋欲しい、何坪でというハード面で頭が一杯になりつつあるでしょう。
私(米村)は、資金計画と同時に、「できた家での団欒シーン」「どんな暮らしをイメージするか(したいか)」というソフト面を大切にして、家づくりに臨むように心がけています。
土地、周囲の環境、家族の個性、過ごす時間、10年後、20年後の暮らし。
それらを解釈しながら、具体的な形にすること。
それが家づくりの本質だと考えています。
家は、買うものではなく、つくるものです。そして設計するもの。
このスタートとなる考え方の違いが、住まいのあり方を大きく変えます。
今回は、建築家による家づくりについて、私(米村)の考えをご紹介します。

写真:工事中の横浜市中区山手の家。建物の工事がほぼ終盤です。電力会社からの通電が行われ、照明も付きました。手前につくられた鉄筋コンクリート製の壁の上にアルミの角パイプの支柱を立てて、これから木のスクリーンを施工します。既製品のフェンスを使っていないところもポイントです。
ハウスメーカーとの家づくり
ハウスメーカーは、建材や仕様を規格化し、職人の能力に頼る事なく、全国どこでも一定の品質と価格を保つようにしています。わかりやすく言えばファミリーレストラン的な発想です。
その一方で、標準から外れる要望や特殊な仕様は実現しにくく、打ち合わせ回数が限られているケースも珍しくありません。ただ、近年では珪藻土の壁やオリジナルキッチンを標準仕様とするなど、柔軟な選択肢を提案するハウスメーカーも増えています。
ハウスメーカーとの家づくりは、どんな人に向いているでしょうか。
- 住まいに強い個性は求めない
- 標準的であることに安心感を持つ
- 打ち合わせは最小限にしたい
- できるだけ早く完成させたい
こうした建築主にとって、ハウスメーカーは合理的な選択肢です。
建築家(設計事務所)との家づくり
建築家(設計事務所)の家づくりの姿勢には多種多様なスタイルがあります。
主宰する建築家の家づくりの姿勢や価値観によって進め方は大きく異なり、「建築家に頼めばこうなる」と一概には言えません。
ここでは、私(米村)の家づくりについてご説明します。
第一歩は、お問い合わせから
多くの場合、家づくりはインターネットからのお問い合わせで始まります。
その後、事務所や建築予定地で直接お会いし、要望を伺った上で、有料(約5万円)のファーストプランを作成します。
このプランをご覧いただいたうえで設計監理契約を結ぶかどうかをご判断いただくのが基本ですが、嬉しいことに、お会いした当初からご依頼を前提にお話しくださるお客様も多いです。
建築家は、建築主の利益を守る代理人
ハウスメーカーの家づくりは、設計と施工を同じ組織で行う点が大きな特徴です。そのため、施工会社があらかじめ決まっており、工事費用や施工方法については、社内の基準に沿って進められるケースが一般的です。また、設計者は施工会社に所属する会社員であり、独立した立場ではありません。工事費用や施工方法に疑問があった場合、設計者に相談しても、社内での調整が前提となります。
それと比較して、設計事務所の家づくりでは、設計者が独立した立場にあり、施工会社を複数社の中から選ぶことができます。そのため、工事費用や施工方法についても比較・検討しやすいのが特徴です。内容に納得できない場合には、建築家が建築主の代理人として施工会社との調整を行います。
設計事務所(私:米村)とハウスメーカーとの大きな違いは次の点です。
- ファーストプランが有料であること
- 複数のプランを提示すること
- ファーストプラン提示後、正式な契約(設計監理契約)へと進めるかどうかを建築主に判断してもらい、その後、回数の制限なく納得のいくまでプランを作ること(本契約には、設計監理料の着手金が発生します)

写真:工事中の横浜市中区山手の家で行われた配筋検査。前半までの工事は、私の事務所と提携する一級建築士(構造設計の専門家)が中心となって監理を行っています。杭施工のチェックや配筋検査、プレカット図面の確認、上棟後の構造体の検査など。検査によって修正すべき部分が10か所以上見つかったケースもあるので、入念な検査は建築主にとって大きな安心とメリットにつながります。
対話の繰り返しでプランを熟成
一度のヒアリングで、完全に満足できる住まいが生まれることはありません。
10年後、20年後の家族構成や、生活スタイルのイメージも必要だと思います。
また、私(米村)から提案することもあります。対話を重ねる中で、要望や価値観が明確になることもあるからです。
最初から「見積もりお願いします」にはすぐにお答えできない、その理由
私(米村)の場合、家づくりはまず要望を聞き、意見交換しながら進めていくものと考えます。そのため、プランが固まっていない段階では使う材料も決まっていないので「正確な見積もりはできません」というお返事になります。
もちろん、予算厳守は言うまでもなく、予算を見据えながら、規模・構造・仕様を調整していきます。何かにこだわれば、何かを外さなくてはいけないこともあります。「トレードオフ」の考え方を基本に調整します。
土地も、人も、条件も一軒一軒違います。
ハウスメーカーは、規格化、量産化を前提とした家づくり。
それに対して、場所と暮らしに向き合い、良い職人の手による手づくりの家を実現するのが「建築家・米村和夫の設計による住宅」なのです。
その根本的な考え方の違いこそが、家づくりの違いだと思います。


工事中の横浜市中区山手の家。建築主の強いご希望で、玄関には赤錆のような少し朽ちた風情ある塗装を採用しています。
写真左:国土交通大臣認定の防火仕様のスチールドア
写真右:周囲のモルタル壁の一部についても、同じテクスチャーで仕上げたいというご要望がありました。
スチールとモルタルの両方に塗れる塗料は限られており、選定には時間がかかりましたが、納得いただける出来栄えになりました。
家づくりに関する思いを、ぜひご相談ください。
湘南を拠点にする一級建築士事務所 米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ
建築家 米村和夫